ドイツ特許出願の除くクレーム「disclaimer」について
除くクレームは、ドイツ特許出願では原則認められます。
例えば、従来技術との相違点を明確にする等の目的があれば、除くクレームは認められています。ドイツ審査官から除くクレームでの表現の必要性について問い合わせがあったものの「従来技術との相違点を明確にするため」等、説明をすれば認められた事例等がありますが、原則、認められる傾向にあるようです。
なお、明細書中に根拠があれば、補正段階で「除くクレーム」とすることも可能です。
一方、欧州特許出願は除くクレームに対して厳格であるため、注意が必要です。
基本的には、日本特許法29条の2の「その他の発明」(自身の先願)を除外するために限って認められているようです。
【除くクレームが例外的に認められたEP出願】
・審決T323/97;消極的限定を加える補正もまた、新規事項追加を禁止する第123条(2)に服する補正であり、出願当初明細書に根拠のない除くクレームは、先願回避のために例外的に認められる
・審決T4/806;様々なプロセスによって製造され得るあらゆる種類のホルモースが発明の製造プロセスに使用され得ることが発明の詳細に開示されており、先願回避のために、ホルモースの製造プロセスを全て列挙してクレームを簡潔明瞭に作ることは不可能なため、「特に、積極的表現による特徴を追加することでは、より簡潔かつ明瞭にクレームを規定することができないケースに該当する」として、除くクレームの使用を認めている
【除くクレームへの補正が認められなかったEP出願】
・審決T285/0019;新規性を否定する文献を回避するために除くクレームが用いられており、補正を認めない。
・T10/0120;必要以上に除外範囲を設けているとして、除くクレームを含む補正を認めない
・T161/0221;複数の範囲を除外する複数の除くクレームが組み合わされているが、組み合わせは技術的に意味をなさず、クレームが不明確である