欧州の仕事についてのお問い合わせ
最近、欧州、海外諸国でも日本弁理士を積極的に採用する傾向にあるようですが、
事務所によって要求されることは様々です。
お問い合わせが多いので、私の少ない経験からここに纏めておこうと思います。
私の場合は、知人経由で今の職を得ましたが、
求人枠を待って応募するという受け身の姿勢ではなく、
自身からどんどん調査し、応募していく積極性も必要なのかなと思います。
そして、そうして採用された場合は、求人枠がある事務所、会社と違って、
自身の仕事が固定されていないので、入所後も自由に働けるように思います。
-欧州の事務所の具体的な仕事内容
【パターン(1)】 日本人特有系
・営業、企画、マーケットサーチ
・日本クライアントが多い場合、日本顧客のコミュニケーションサポート、日本語文献の翻訳、誤訳のチェック
・パテントサロン等の日本の求人サイトで募集している場合はこの手が多いと思います
・ドイツ、欧州はまだ出願件数が右肩上がりで日本ほど出願件数が激減していないので(仕事がそれなりにあふれている)、経営には非常に貢献しているものの、営業での新規獲得よりも案件処理の方が評価される傾向にあります
・込み入った案件で調整役として間に入る
・事務所の窓口として外部と内部とのハブとして機能します。クレーム対応とその処理、年金納付の指示から案件の受任管理等、内容に関わらず幅広く関わることになります。
・新規開拓等のためのセミナー開催
【パターン(2)】 実務系
・案件をこなす。案件は、中間、新規案件、鑑定、異議申立等になりますが、欧州での仕事は主に、海外から欧州に移行される案件の中間処理が主になります
・上記のお客さんが日本のクライアントであれば、応答案の指示書を日本語で受け付け、それに基づき応答案を作成する
・この場合はドイツ人等の同僚と肩を並べて仕事をすることになるので、それだけの語学力、法的知識・経験、処理能力が要求されます
私の場合は、主にパターン(1)になりますし、
日本のお客様が日本人スタッフに期待することは、案件を処理に専念するよりも、
日本人特有の感性で機転を利かせ、コーディネータとして仕事を円滑かつ迅速に運び、痒い所に手の届く仕事を提供することです
-事務所が日本人弁理士に期待していること
上記パターンによって、営業や窓口としてなのか、実務担当としてなのかは変わってきます。
(1)営業であれば、勿論、新規獲得が一番に要求されることです。
結局は、自身の儲けではなく、真にクライアントの利益に立ったコンサルティングを目指すことが、この人と一緒に仕事をしたい、と思われるのだと思います
(2)窓口であれば、日本と現地事務所とのコミュニケーションが上手く運んでいるかとチェックし、問題発生時にはクライアントを繋ぎとめる最後の要として社内調整しつつ真摯に対応することが要求されます
(3)実務系であれば、ドイツ人、欧米人にも負けないよう、英語やドイツ語で中間処理等を迅速かつ的確に処理することです。この場合は、日本語の文献が引用されることも多いので、誤訳等の混じった訳文ではなく、原文に基づき検討できる点は一つの強みであると思います。