クレームの明確性 EPC84条違反に対する応答
中間処理において応答が難しく、日本の特許実務との相違が大きいのが、クレームの明確性 EPC84条違反です。
日本の特許法36条6項2号「特許を受けようとする発明が明確であること」に対応する規定です。
-approximately
-substantially
-about
等の文言を使うとこの要件違反が来ることが多いです。
他にも、色んなパターンがありますが、
「何が不明確か分からない」、
「実施形態には同じ表現しかないので他の表現のしようがない」
ことが多く、頭を悩ませる応答の一つです。
例えば、クレーム1の「A is substantially B」
という文言についてEPC84条違反が通知されたとします。
それでは、substantially を削除すれば解決できるというかとそうはいきません。
substantially を削除すると、Aは実質的にBでありBそのものを権利範囲に含まなかったところが、AはBそのものとなり、Bそのものが権利範囲に含まれることになります。
このため、こうした文言を削除する補正は基本的に認められないと理解した方がいいです。
ではどのようにクレームの明確性違反を解消すればいいのでしょうか。
それは「substantially B」をより明確に定義することです。
例えば、Aは実質的に円形(B)であることがクレームに記載され、円形(B)の一部が突出している実施形態が 記載されている場合、
「Aは実質的に円形(B)であってその一部が突出している」ことを明確にすることによって、Aは実質的に円形(B)であるということはどういうことであるのかを定義することができます。
このため、少なくともクレームでは、約、実質的な、大よその、ほぼ、等のぼかす表現を避けることが無難ですが、
明細書中に、「約、実質的な、大よその、ほぼのA」であって、なぜ「Aそのもの」ではないのかを具体的に、多面的な表現を使って記載する必要があります。