弁理士葉隠れ道~欧州・ドイツ篇~

日本と欧州との懸け橋となるべく、慣れない欧州で七転び八起きしながらも欧州のローファーム(特許法律事務所)で何とか励む日本弁理士の日記です。欧州の現状の紹介や、海外での勤務を夢見る方々の参考になれば幸いです。 <免責事項>本ブログは、管理人である私一個人の見解を記載したものであり、内容について管理人の勤務先が責任を負うものではありません。また本ブログの内容は無保証です。ご利用は自己責任でお願いします。ご理解のほどお願いします。 ご意見等はこちらまでお気軽にどうぞ。minmin70707アットマークyahoo

働く人が幸せな組織作りとハンティング

 

欧州に来て実感したことの一つが、いずれの業界も、

優秀な人材を確保することに一生懸命なことです。

 

つまり、

・既に優秀な人材が社内に居る場合には、裁量と本人の望む機会を与えることで、優秀な人材が居つきやすい環境を整え、

・人手不足や新規事業立ち上げのために優秀な人材が必要な場合には経験豊富で実績ある人を他から連れてくる方向に動きます。

 

実際、私の知人は毎月のようにヘッドハンティングされています。

※なお、ヘッドハンティングという言葉がもてはやされていますが、

ヘッドハンティングの多くはヘッドハンティングではなく、アームハンティングであることが多いので要注意です。

 

真面目にキャリアを積んで実績を出してきた人にとっては、

よりよいオファーや環境、キャリアアップの場を提供してくれる職場を選ぶことができ、

雇用者としても優秀な人材を引っ張ってきやすい労働市場にあるので、

優秀な人材と、優秀な人材を欲しい企業にとってはメリットがあると思います。

 

逆に、年齢を重ねれば重ねるほど、それに見合った職務経験や実績を要求される傾向にあるので、

それなりの年齢にあるにも関わらず、

『この分野は全く担当したことがありません』、

『マネジメント経験がありません』、ということでは転職が難しくなります。

私も以前は、欧州のローファームに勤めていたのに

『日本向けの営業と仲介しかできません』

という状態だったので、弁理士としての将来に大きな不安を感じていました。

 

一方、転職する際、転職先の企業が今の企業にどんな人物であるかを内々で確認したり、

以前勤めた会社からの勤務評価書(通知簿)の提出を要求されることが通常です。

このため、現在もしくは以前勤めた企業での評価が悪いと、新しい仕事を見つけることが一層に難しくなります。

 

つまり、今もしくはこれまで勤務した会社からの評価の高い人はよりよい環境への移籍が容易で、現状の評価の低い場合は移籍が難しく現状に残り続けなければならない傾向にあります。

 

新しい職場を見つけやすくするために今の仕事を頑張るというのでは本末転倒ですが、

今の仕事を精一杯に頑張り、コツコツと徳を積むことで

現状では好きなことができず不満があったとしても、巡り巡って次の機会に繋がると思います。

 

雇用側も、社員の満足度が高ければ高いほど優秀な人材を確保しやすくなり、

googleのように、

世界中から優秀な人材が集まり

⇒世界を牽引する斬新な製品が生まれる

⇒こんな会社で働きたいと憧れる人が世界中に増える

といった好循環が生まれると思います。

 

 

とはいえ、転職はあくまで最後の手段。

完璧な組織は存在しないので、

(1)現状に不満があってもまずは自身の考え方を改めて

(2)それでもだめなら、今の職場を改善するように動き、

(3)それでもだめなら、最後の手段として別の環境を探すもしくは創り出す

ことが重要だと思います。

 

特に、同僚・上司、クライアントとの間で築いた永年の信用は大きな財産なので、

移籍に伴う内外の信用のリセットは大きなデメリットであることを心得ておくべきだと思います。