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弁理士葉隠れ道~欧州・ドイツ篇~

日本と欧州との懸け橋となるべく、慣れない欧州で七転び八起きしながらも欧州のローファーム(特許法律事務所)で何とか励む日本弁理士の日記です。欧州の現状の紹介や、海外での勤務を夢見る方々の参考になれば幸いです。 <免責事項>本ブログは、管理人である私一個人の見解を記載したものであり、内容について管理人の勤務先が責任を負うものではありません。また本ブログの内容は無保証です。ご利用は自己責任でお願いします。ご理解のほどお願いします。 ご意見等はこちらまでお気軽にどうぞ。minmin70707アットマークyahoo

PCT出願の国際調査機関の見解書ISAに対する非公式コメント“informal comments”

 

PCT出願においては、国際調査機関の見解書(WO/ISA)について反論できる機会を出願人に与えるため、

非公式コメント“informal comments”の提出が認められています。

非公式コメントは、PCT出願の言語で国際事務局(IB)に直接提出します。

 

国際事務局は、指定官庁から請求があると非公式コメントを指定官庁に送付します。

つまり、請求がなければ自動では転送されません。

 

非公式コメントを移行先の国内段階の審査に加味させたい場合、非公式コメントとその翻訳文の提出が国内移行時に必要です。

ただ、非公式コメントの考慮の可否は審査官の裁量に委ねられています。

 

以下詳述します。

 

(1)非公式コメント“informal comments”の取り扱い

非公式コメントは、移行先の各国特許庁の審査官の裁量により考慮可能なようですが、

国際段階で提出された非公式コメントは、PCT国際段階の移行先であるドイツ特許庁、欧州特許庁のいずれにおいても考慮されない傾向にあるようです。

 

(2)PCT19条補正が行われた場合

国際調査報告(ISR)に対するアクションとして、PCT19条に基づく補正を行うことが可能です。この際、PCT19条補正について、500文字以内の説明書を提出することが可能です(PCT規則46.4)。

 

しかしながら、国際調査報告(ISR)に対する応答として、PCT19条に基づく補正書やその説明書(PCT規則46.4)が国際事務局(IB)に提出されたとしても、これらはドイツ特許庁の審査官、欧州特許庁による審査には考慮されません。

  

なお、ドイツ国内移行もしくは欧州段階への移行時に、審査対象とするクレームをドイツ特許庁もしくは欧州特許庁に知らせる必要があります。

出願人が対象クレームを明示しなかった場合、PCT出願のオリジナルのクレームが審査対象となります。

 

国際段階で行われたPCT19条補正に基づく審査を国内段階において希望する場合、

その明示と補正クレームの提出とが必要となります。

加えて、移行時に、非公式コメントもしくは上記説明書を、ドイツ特許庁もしくは欧州特許庁に提出することが可能です。

  

(3)その他の重要事項

国際段階において国際調査報告(ISR)の発効後、国際事務局に対してPCT19条補正、PCT規則46.4の説明書、非公式コメントが提出されたとしても、それだけでは、これらの提出書面はドイツ国内段階や欧州段階への移行後、審査官には考慮されません。

 

よって、審査官に考慮させる可能性を高めるためには、

ドイツ段階への移行時、もしくは、欧州段階への移行時に、

PCT19条補正、PCT規則46.4の説明書、もしくは非公式コメントをドイツ特許庁もしくは欧州特許庁に提出することが有効なようです。

  

なお、非公式コメントが日本語等で提出されていた場合、欧州特許庁にはその公式言語、ドイツ特許庁にはドイツ語の翻訳文の提出が必要となります。

 

  

以上から、以下の2パターンが補正の効果や非公式コメント提出の効果を高める方法となります。

  

(a)国際調査報告(ISR)発効後、PCT19条補正を国際事務局に対して行った場合

 

・PCT19条補正+PCT規則46.4の説明書

・非公式コメント+その翻訳文

を移行時に提出

 

(b)国際調査報告(ISR)発効後、PCT19条補正を国際事務局に対して行わなかった場合

 

・非公式コメント+その翻訳文

を移行時に提出

 

 

ただ、あくまでも非公式コメントは、運がよければ審査官の裁量で考慮される程度なので、

拒絶理由対応時の案として思っておいた方がよさそうです。