欧州の訴訟事情 ~高くても厳しくても遅くてもやはり右肩上がりな欧州特許庁とその背景~
【 世界の特許訴訟動向】
【 EU主要国訴訟動向 ~提訴側及び被提訴側の分野分布~】
ドイツ訴訟動向;
(1)機械分野を主要分野(31%)とした
電気電子、化学・製薬の三分野での訴訟が活発
(2)訴訟配分は出願配分に概ね比例
(3)電気電子分野では、スマートフォン関連の訴訟が増加
【EU主要国訴訟動向 ~判決結果解析~】
【欧州圏外から流入する模倣品】
激増する欧州圏内の模倣品…2005年;2万7千弱→2012年;約9万件(僅か7年で三倍以上に増加)
–劣悪品のため特許では無理でも、意匠、商標で抑える
–電子部品、機械部品の模倣品対策でも、意匠による保護が重要になりつつある
増加する模倣事例
・商標類似
・外観同一、類似
・機能劣悪
→商標権・意匠権での抑制
【EU主要国訴訟動向 ~判決結果解析~】
(1)アメリカでは、特許権侵害で訴えを提起され、高額の賠償金を支払わされるリスクが高い
(2)ドイツでは、特許権侵害で訴えられるリスク(件数)が米国の約三分の一でありながら、自社特許で権利行使した場合に勝訴できる可能性が高い
(3)ドイツの出願件数は日本の約5分の一であるが、訴訟件数は約3.5倍
→特許当たりの訴訟リスクは日本の約20倍
⇒以上から、
ドイツには低リスクで事業進出しやすく、模倣製品を排除しやすい!
ということが伺えます。
【訴訟費用】
(費用リスク)
・敗訴当事者から勝訴当事者に対して支払う償還されるべき費用、裁判所費用及び弁護士及び特許弁理士双方に対する法定費用を含む
・敗訴当事者の弁護士費用は含まれていない
・実際には,費用の合意が一般的であることから、弁護士の費用は法定額から除外し得る裁判所が任命する技術鑑定人の費用、出張旅費、翻訳費用等の追加費用も発生し得る
以上、訴訟動向から欧州知財を解析してみましたが、
日本と比べ、攻めるため、交渉のための特許権、知的財産権という印象が強いです。
いつ海外進出することになるかも、
自社製品が欧州等の大規模市場で模倣されることになるかもわかりませんので、
最初は国内だけでいいと思っていても、経営サイドとしては、
『アイデアの段階から世界を見据える』
弁理士サイドとしては、
『世界で通じる権利を最初から狙う』
スタンスがますます重要になってくるかと思います。