弁理士葉隠れ道~欧州・ドイツ篇~

日本と欧州との懸け橋となるべく、慣れない欧州で七転び八起きしながらも欧州のローファーム(特許法律事務所)で何とか励む日本弁理士の日記です。欧州の現状の紹介や、海外での勤務を夢見る方々の参考になれば幸いです。 <免責事項>本ブログは、管理人である私一個人の見解を記載したものであり、内容について管理人の勤務先が責任を負うものではありません。また本ブログの内容は無保証です。ご利用は自己責任でお願いします。ご理解のほどお願いします。 ご意見等はこちらまでお気軽にどうぞ。minmin70707アットマークyahoo

欧州特許の審査促進手法

【欧州特許出願における審査促進一覧】

f:id:hagakure777:20160419040013p:plain

 

 

簡易な審査促進手法として、PACE(programme for accelerated prosecution of European patent applications)があります。

f:id:hagakure777:20160416074719j:plain

申請に際して実際に行われる作業は下記の書面のチェックボックスにチェックするだけです。このため、特許査定となったクレームの提出等、手続きが煩雑なPPHと比較すると、現地代理人費用も低額になる傾向になります。

 

f:id:hagakure777:20160416074730j:plain

 

勉強熱心な先生方の多い日本の方が現地代理人よりも情報に敏感な気がしますが、

このPACEの運用が2016年1月1日から改訂されています。

主なポイントは以下の通りです。

 

【根拠】欧州特許庁発行のOfficial Journal November 2015

 

(1)PACEは、調査段階と審査段階のそれぞれにおいて1回だけ認められる

 

(2)一旦請求されたPACEが期間延長の請求等によって解除されると、2度目の請求は認められない

 

(3)すべて出願について一括でPACEを請求すると、数を絞るように要求される(欧州特許庁副長官いわく、韓国や中国の出願人は、“わが社案件は全て早期審査!”といった請求を欧州特許庁にされるようです)

 

(4)審査段階でPACEが継続して有効な場合、出願人が応答してから3か月以内に次の審査に関する通知を行う(努力義務)

 

(5)このほか、PACE以外の審査促進手法として、審査継続の確認である「規則70(2)の通知放棄」、許可予告後に補正が行われた場合の再通知である「規則71(3)の通知放棄」が明記された。