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弁理士葉隠れ道~欧州・ドイツ篇~

日本と欧州との懸け橋となるべく、慣れない欧州で七転び八起きしながらも欧州のローファーム(特許法律事務所)で何とか励む日本弁理士の日記です。欧州の現状の紹介や、海外での勤務を夢見る方々の参考になれば幸いです。 <免責事項>本ブログは、管理人である私一個人の見解を記載したものであり、内容について管理人の勤務先が責任を負うものではありません。また本ブログの内容は無保証です。ご利用は自己責任でお願いします。ご理解のほどお願いします。 ご意見等はこちらまでお気軽にどうぞ。minmin70707アットマークyahoo

日本人に期待されることと日本人が欧州実務をこなすことのメリット

  

(1)日本人に期待されること

欧州の事務所が日本人を採用する上で期待していることの一つに、

新規顧客開拓や日本顧客とのコミュニケーションサポートがあります。

経営側としては、それを専属業務として専念させ、ドイツ人等の現地代理人に処理可能な案件は他の同僚に処理させる、という意向です。コーディネータ的な役割が要求されます。

 

この仕事内容につき、最近何かと拡散方向にありやや不満があったので先日直訴したところ、

事務所としては、他のドイツ人同僚が対応出来る中間対応等よりも、マーケティングリサーチや顧客開拓、顧客のサポートを私に一番期待しているようで、なるべくそちらに専念してほしいとのこと。あと、ドイツは過重労働には雇用側が細心の注意を払う必要があるので、その点も懸念しているようです(そんなに忙しい気はしませんが、確かに去年は結構残業してました)。

 

また、ドイツの文化として、日本のようにゼネラリストとしてあれもこれも色々な役割を担わせるのは好ましくなく、新しい役割が出来た場合はその役割を埋めるための人をその役割の専属担当として雇用するという風土があるようです。このため、経営者としては、他の役割を与えないのではなく、むしろ過重労働から労働者を守っている、という意識があります。

確かに日本の前所では、グループ員の管理、案件の勉強会、明細書のチェック、納期管理、窓口として仕事を受けて案件の配分、そして自身の実務(明細書作成+中間対応)と、所謂プレイングマネジャーとして超ハードな日々だったので、二束の草鞋はなかなか大変でもあります(遣り甲斐も面白味もその分大きいとは思います)。

 

また、

-適材適所により個々の強みを最大化しつつ、個々の業務に専念してもらう

-何より、出張中に日本企業等から頂いた、日本人にコーディネータ的役割に対する非常に強い要望に応える

という点では、この経営方針も理に適っています。

 

というわけで話題から逸れましたが、日本人に期待されることは事務所によって様々です。近年、海外で働きたいという弁理士も少し増えてきていますが、

単に海外で働きたい、というだけではなく、

欧州実務を極めたい、営業を極めたい、日本との懸け橋になりたい、

等、長期目標と具体的展望を持った上で海外に亘り、それに相応しい舞台を選ぶことが大事なのだと思います。

 

 

(2)日本人が欧州実務をこなすことのメリット

 

日本人が海外で実務をこなす道を選ぶ上で懸念事項となることは、

同僚の現地代理人に肩を並べて現地語等で同じ土俵で仕事をすることになる、という点です。

 

この点、日本人として勝ち目があるのか気になるところですが、

普段よりお世話になっており、まさに現地代理人に肩を並べて働かれている友人曰く、

寧ろ、日本人には、日本から欧州に出願される日本関連の案件を任されることも多く、

明細書に記載された発明や細かいニュアンスを本質的に理解したり、結構頻繁にある誤訳に伴う誤解を避けるには、

本の基礎出願を読むことが一番手っ取り早く、結局それをもとに案件を処理できるので、

日本関連の案件は日本人弁理士が処理する方が現地代理人よりも早い寧ろ場合も往々にあるし、

より正確に処理できるそうです。(それにしても日本人としては誇らしいご活躍ぶりです)

 

この観点はなかったので目から鱗でしたが、

こうした点も、日本弁理士がいる現地事務所にお願いするメリットの一つだと思います。

また、日本での経験のある日本弁理士であれば、日本実務と欧州実務との差異を抽出したり、その差異を踏まえて、日本実務へのフィードバックを行い、

国際出願を踏まえた明細書執筆や、誤訳を低減できる明細書執筆等を提言することもできると思いますので

これも日本弁理士がいる現地事務所にお願いするメリットの一つだと思います。