13.ペイフォワ-ド ~次へ繋げる~
最近、平日夜や休日の時間等を使って、
ミュンヘン大学(ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン)の日本学科の学生や、日本に興味のあるドイツ人に日本文化や日本語を英語で紹介するということを個人的に行っています。
『日本と欧州との懸け橋になる』
と大胆なことを日本で宣言していましたが、
こうした仕事面での利害のない、草の根的な活動も大事だと思って始めました。
これまでA先生やK先生をはじめ、多くの方から頂いた恩を次に繋げたい“ペイフォワ-ド”という想いもあります。
先日、ドイツの幼稚園から、 “日本のことを子供たちに説明して欲しい” という嬉しいご依頼を頂きました。
『ドイツの子供たちが理解できるように、日本の文化をドイツ語を使って説明する』
非常に難しいプレゼンテーションです。
知財村と揶揄する方もいらっしゃるように、この業界でも良くあるのですが、
話し手と聴き手とが専門用語を知っていることを前提に、
専門用語を駆使して書類作成や議論をすることがあります。
“Intellectual property”や“patent”が通じない一般人と接することの多かったイギリス生活で経験しましたが、
『専門用語を使わずに専門的な内容を説明する』
という作業は非常に難しいです。
相手の頭に無い新しい概念を、相手の頭に或る言葉を使って説明しなければならないからです。
ドイツ語を知らない自分にとっては全てが専門用語のドイツ語を、
ドイツ語の解説で一カ月半習ったところで全く上達しなかったことから、相手の頭の中に或る言葉を使って説明することが如何に大事かを実体験を通じて学びました。
ドイツ人は英語がご堪能な方が多いですが、
幼稚園生では未だドイツ語が共通言語ということで英語は通じません。
・ 日本地図
・ 富士山や侍の写真
・ 折り紙
等、子供た ちが興味の惹かれる材料を活用しつつ、
ニホンジン ハ チョンマゲ ヲ ツケテ マイニチ スシ ヲ タベル
などと
くれぐれもドイツの子供たちが日本のことを誤解して育つことのないように、
正しい知識を持って貰いつつ、日本に親しみを増えるドイツの子供たちが一人でも増え、彼らが後のドイツを担うことを願っています。
『日本を一歩出れば誰もが日本代表』
そんな言葉が身に染み入ります。
~身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ~
私が永年の間、信条にしている座右の銘です。
“一身を犠牲にするだけの覚悟があって初めて、活路も見出せる”
“全てを投げうつ覚悟で事に臨めば、道が開けることもある”
という意味ですが、まさに私のこれまでの人生を表している一言です。
今までは、自分の夢を追うことに無我夢中でした。
片田舎の母子家庭で育った私でも、国際都市ミュンヘンでの大きな夢を掴むことができる。
今度は、“自分単位”の夢を追い掛けるだけではなく、
『夢を与える人』になることが私の新しい夢です。
このコラムもそんな願いを込めて綴りました。
日本に生を受けた若者たちには、
ぜひとも、不況や暗いニュ-ス、ネガティブな意見等を物ともせず、先を憂うこともなく、逆にそれらを糧にして、大志を抱き、夢を実現して欲しいと思います。
ときには、未知なるものに対する恐れを全て拭い去り、全力で飛び込んでもなければ開けない道もあります。
世界はそのような若者を待っています。