弁理士葉隠れ道~欧州・ドイツ篇~

日本と欧州との懸け橋となるべく、慣れない欧州で七転び八起きしながらも欧州のローファーム(特許法律事務所)で何とか励む日本弁理士の日記です。欧州の現状の紹介や、海外での勤務を夢見る方々の参考になれば幸いです。 <免責事項>本ブログは、管理人である私一個人の見解を記載したものであり、内容について管理人の勤務先が責任を負うものではありません。また本ブログの内容は無保証です。ご利用は自己責任でお願いします。ご理解のほどお願いします。 ご意見等はこちらまでお気軽にどうぞ。minmin70707アットマークyahoo

欧州移行用の出願書類

欧州に移行する特許出願書類は、移行時に特許請求の範囲や明細書の体裁を整えることが可能です。特に、パリ優先権に基づく特許出願の場合、明細書や特許請求範囲の中に不明確な記載等があったとしても、移行後の補正が厳しくなってくるため、移行段階で以下…

欧州特許出願の補正 ~形式的事項~

欧州特許出願の補正においても、PCT、WIPOのガイドラインに従って、以下の様式で用意することがお勧めです。 以下の内容は、例えば、オフィスアクション(中間対応)への応答時に補正書+意見書を提出する場合等が該当します。 提出書面 (i) a complete set …

ドイツの報道について

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47379?page=2 「ドイツの報道は、ある一定の分野においてはかなり偏向していると思う。」確かに。 最近やっとTVの内容もちょっとは解るようになったのでBBC以外(もとい日本Youtube以外)のドイツ番組も観ていますが、…

ドイツのお給料事情

新年早々、早速お金の話です。 なぜかといいますと、 このブログ中、ダントツでアクセス件数が多かったテーマが『ドイツの平均年収』という過去のトピックだったこともあり、また自身の過去のドイツでの相対評価を知る上でも気になったこともあり、さらに詳…

ミュンヘン観光

以下ミュンヘンの主な名所について勝手ながらご案内させて頂きます。 折角の機会ですので、特許庁等のみならずお時間あればご訪問されると良いかもしれません。 【ミュンヘン市内の名所】 -ホーフブロイハウス http://www.hofbraeuhaus.de/ 欧州最古のビア…

翻訳しやすい明細書

三行革命 120文字以内 一文に主語、述語は一つずつ 等、定型的なシンプルな手法が“翻訳しやすい明細書”の作成方法として指示を受けた人も多いのではないでしょうか。 私は日本の特許事務所で6年間、ひたすら国内向けの明細書を執筆していました。 当時の…

日本での特許事務所経営と営業について

まだ見習い侍ですが、恐れながら、最近、特許事務所の経営者、大先輩の方々から事務所経営に関する意見、アドバイスはないかと問われることが多いです。 日本国内の出願件数が減少する中、日本国内の特許事務所の経営にあっては、 事務所を代表して渉外を行…

身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ

実家から徒歩五分、同じミュンヘンでの仕事、奥様は妹の友人、と不思議なご縁を感じる方ですが、九州の”食”と”文化”とを欧州に普及しつつ、日本では欧州の食文化を紹介する親善大使として、まさに日本と欧州との懸け橋としてご活躍されている方のお言葉。営…

ポジショニングへの標とご縁

昔、ミュンヘンに来る前に他の特許事務所への転職を考えていた際、 応募するならと第一候補にしていた特許事務所の事務局長と、ふとしたご縁でミュンヘンでお逢いしたのですが、今後の進路を考えていた今日この頃、大変に勉強になるお言葉を頂戴しました。 3…

弁理士としての方向付と転換期

数Ⅱのベクトルは大の苦手でしたが、戦略という観点で“ベクトル”という言葉を使うのが好きな私でございます。 ドイツを目指した理由として、 ・明細書作成・中間対応業務として定型化しつつある日本弁理士の新しいベクトルを開拓する ・日本以外で世界の製造…

欧州の仕事についてのお問い合わせ

最近、欧州、海外諸国でも日本弁理士を積極的に採用する傾向にあるようですが、 事務所によって要求されることは様々です。 お問い合わせが多いので、私の少ない経験からここに纏めておこうと思います。 私の場合は、知人経由で今の職を得ましたが、 求人枠…

武士道とは、 死ぬことと見つけたり

「武士の心得として最も重要なものは何か?自分の成し遂げたいもののために、一分一秒、魂を賭してそれに向き合うこと」 「武士とは、嵐の真っ只中にあろうとも、ひとり立ちすくせる者でなければ価値がない」 「何の準備もなく突然の暴風雨に曝されたとして…

新分野創出に力を

念願のドブロブニク!

突然ですが、兼ねてから念願のドブロブニクに行ってきました。今年の夏は出張が重なり(昨年は泣く泣く返金不可のチケットをキャンセルした苦い思い出があります)、旅行は厳しそうでしたが、週末等を使ってドブロブニクに弾丸ツアーです。 ミュンヘンからドブ…

今後の方針と後進への標 ~将来欧州で働きたい人に向けて~

日本出張で一気に視界が開けましたが、 その前は欧州弁理士の受験資格の件で何かとこれまでの予定が大幅に狂い、結構思い悩んでおりました。 欧州弁理士の受験資格を得るには、欧州の特許事務所で、 -実務経験3年 -実務経験10年 と2つの道が存在します…

特許明細書執筆の偉大なる使命

日本の弁理士は、世界で最も多くの明細書を世界最高品質で執筆するといわれています。 特に、実施形態の提案能力、発明を広げるという付加価値の点では、 右に出る外国の代理人はいないでしょう。 一方、欧米の代理人は、或る素材(明細書)に基づき、論理を…

やはり欧州は自己主張の国

“主張しなければ何も変わらないが、主張したら結構変わる”のがドイツ “主張しなくても意図を汲んだり評価して変わるものの、必要以上に主張したら逆に煙たがられる”のは大和文化でしょうか。 身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれではありませんが、特に日本からや…

日本人に期待されることと日本人が欧州実務をこなすことのメリット

(1)日本人に期待されること 欧州の事務所が日本人を採用する上で期待していることの一つに、 新規顧客開拓や日本顧客とのコミュニケーションサポートがあります。 経営側としては、それを専属業務として専念させ、ドイツ人等の現地代理人に処理可能な案件…

渉外弁理士 ~窓口のよいこととわるいこと~

渉外弁護士だけではなく、渉外弁理士という言葉があるそうです。 渉外の定義は、 (1)外部と連絡・交渉をすること。 (2)ある法律事項が国内だけでなく外国に関係連絡をもつこと。 となっています。 今まで、顧客対応の窓口と、みどりの窓口如く、自身の…

為さざる或るなり、以て為すべきあり ~孟子~

ぶつかった課題解決に向けて選択肢を網羅的に増やしていくとそれらの検証にばかり時間を取られて、結局何も出来なくなってしまうので、やることを決める、よりも、やらないことを決める、事の方がむしろ大事だったりします。 3年前、前職でこの話をテーマに…

ものの見方を変えてみる  ~生活編と収入編~

最近不満に思っていることの一つが収入面。これは絶対額そのもの、というより昨年金銭的に貢献したと思われる事項に対するフィードバックがないという意味です。 そこで、少しだけものの見方を変えて、ドイツの生活と収入につき考えてみました。 現在の家賃…

ドイツの特許事務所で働くことのメリットその壱

日本に居ながらにして弁理士の先生方にお逢いすることは、会派の会合や交流会等で可能です。 しかしながら、事務所を幾つも回って先生方にお逢いしたり、個々の事務所の雰囲気を肌で感じるというのは、日本の知財部ならまだしも特許事務所に勤めていては競合…

職務発明と営業成果と自身の将来の行く末

職務発明は、発明者個人としての努力、才能によるところも大きいが、雇用側による施設や時間、予算等の機会提供も大きいため、雇用側に属すように、職務発明に関する規定が改訂される。そして、実際には、出願に際して職務発明に関する権利は雇用側に譲渡さ…

一年間の軌跡

ドイツ語及び英語は予想外に、驚くほどに上達していないものの、 仕事面等では予想以上に収穫の有った一年でした。 振り返る意味でも、以下に軌跡を示してみます。 入所して僅か8ヶ月で、初かつ単独出張 3週間 出張で訪問した会社のうち、2社がドイツまで…

二年目で観えてくること

気付けばドイツでの仕事と生活も二年目に突入しました。 二年目となると、一年目と違い、精神的・時間的な余裕が出てくるせいか、ドイツに対する色眼鏡が外れてくるせいか、色々なものが見えてきます。 例えば、 ・ドイツ語も英語も全く上達しない ・カプチ…

ドイツ法とサービスとの関係

ドイツ法とサービスとの関係 今日は、ドイツの会社のサービスに対するポリシーについて改めて学びました。 笑顔は無料の日本で生まれ育った私としては、ドイツや欧州でのサービスと日本でのサービスとの相違に、落胆することも多かったです。 要は、 『時間…

ドイツと日本の労働効率について考える

ドイツと日本との労働効率の相違は、日本に居たときから興味のあるところでした。 ドイツの年間平均労働時間は、約1400時間、 日本の年間平均労働時間は、約1700時間 一方、GDPは略同等、人口は日本が2割程多い、 上記から一人当たりの単位時間GDPを…

国際結婚について

“ドイツに行くなら現地で奥様を見つけて、完全に現地化するのが一番の道” と、弁理士試験を共に勉強した仲間にアドバイスされたことを少し頭の片隅において日本を旅立ちましたが、国際結婚についてはやはり色々な苦労があるようです。 国際結婚といえば、女…

一年後の成果

ドイツに勤務して念頭に置いていたことの一つに、 『日本人採用枠を新たに作る』、つまり日本人雇用の機会を創り出すこと、 があります。 私自身、ドイツで働けたことで、自身の人生や経験できることが大きく変化し、 一層に日本を知ることができました。 ま…

スウィーツと弁理士

昨日は、日本人女性で初めて欧州弁理士試験に合格した欧州弁理士と、そのお友達とドイツ名物スウィ-ツのカイザ-シュマ-レンを食べてきました。ミュンヘンで一番美味しいお店と言われるだけあって、本当に美味しかったです。30分間、オーブンで丁寧に焼き…