言葉が分からないということはどういうことか
今週は洗濯物が何故か、日本での雨の日の部屋干しの匂いがします(というか部屋干しですが、ドイツでは美的概観を維持する義務があり、基本的に部屋干しです)。
要は洗濯した衣類がクサいわけです。
いつにもまして大量の洗剤を使ったにもかかわらずです。
さすがにおかしいと思ってよくよく調べてみると、
洗剤と思って丸一週間使っていた液体が『柔軟剤』と『漂白剤』(ドイツ語表記)だったわけです。
さすがに日本語表記だったら、洗剤の代わりに『柔軟剤』と『漂白剤』を大量に使って洗濯し続けるということはないと思いましたが、これも海外ならではの経験です。
このように海外で生活すると、現地の小学生以下まで生活能力が低下してしまいますが、
これもまた海外ならではの貴重な経験です(要はもっと勉強しなさいということです)。
ちなみにドイツの洗濯機は威力がありすぎて、
日本から持ってきた10着のズボンも残り二着となるまで焼き焦げてしまいました。。
天皇の料理番と日本人
『天皇の料理番』は、“宮内省大膳職司厨長(料理長)を務めた秋山徳蔵氏の青年期から主厨長になるまでを描いた作品(ウィキペディアより一部抜粋)”
小学校の卒業のアルバムで『将来の夢は伝説の料理人になること』と書いて、
お蔭で中学校の入学時には“伝説の料理人”というあだ名が全生徒の間で既に認知されており、
結局、料理人にはならずに弁理士になって、秋山徳蔵氏が修行した同じ彼の地であるヨーロッパで修行中の自分自身と勝手に重ねて、
激しく見入ってしまいました(まだ途中ですが)。
同じく勝手に自分と重ねて視聴した『結婚できない男』以上に面白く、個人的には史上最高のテレビドラマでした(ちなみに勉強も兼ねてドラマは全て英語で観るようにしています)。
プライベートな面も何やら色々重なって驚きましたが、
フランス料理の本場フランスのトップレストランのシェフに僅か三年余りで上り詰め、
天皇の料理番として、日本一のシェフとして日本に帰国したという偉業を成した点では、
自身と重ねるのもおこがましくございました。
ところで、日本一の弁理士って、何でしょう。
弁理士会の会長?
日本一大きい事務所の所長?
弁理士資格を全世界で取得した人?
自分でも一番発明した人?
はたまた、前代未聞の量の商標をたくさん出願して怒られた人?
私は、クライアント、日本、世の中に一番貢献した弁理士だと思っています。
弁理士創設の趣旨、法制度設立の背景に遡ると、そこに至る気がします。
だからそうした一番の弁理士は一人ではなく、世界中にたくさん存在するほどいいと思います。上記の会長も大事務所を目指すのも全てそのための手段であるべきです。
さておき、ドラマを観ている中で色々と考えさせられましたが、
世界で日本人が活躍する姿を観るのは、日本人として非常に嬉しく頼もしいです。
欧州や米国でも、日本人の弁理士が現地のローファームに入って、
色々苦労しながらも欧米人と肩を並べて自分の腕一本で戦い、日本の海外進出に尽力する姿は、競合他所だろうが同じ日本人として喜ばしいです。
秋山徳蔵氏は、病気を患っている兄の期待に応えるべく、
パリの最高峰レストランの立場を捨てて、日本に帰国して、天皇の料理番になる道を選びます。
日本一の料理人になるという夢を追わなければ、自身を慕ってくれた女性と離婚することも、子供が流産することもなかったかもしれません。
ですが、いろんな犠牲を払って、理不尽な境遇でも努力を続け、
誰もが成し遂げられなかったことを偉業は為した軌跡は、
今なおドラマや小説等を通じて日本人を励ましているように思います。
当時から100年ほどが経って、日本製の自動車やカメラや、ポケモンGOが世界中に溢れるようになりましたが、
まだまだ、欧米、海外には、日本人の素晴らしさを日本の製品やサービス、現地で働く日本人の働く様を通じて伝えていく必要がありそうです。
知的財産権の国別の位置付けと、弁理士の役割
最近、日本では弁理士が“知財経営・知財戦略”、“技術経営(MOT)”、“特許会計・知財評価”といった多面的な場面で登場する機会が多くなり、
弁理士×中小企業診断士、弁理士×会計士・税理士といったダブルライセンスを目指す方も多いです。(私も日本に居た際は、MBAやMOTを学ぶことを考えていました。というか、高校の頃から弁理士業に興味があったものの、知財業界に入る前はコンサルタント志望でした。)
その背景には、
日本では、特許出願件数が多い割には訴訟が少ない、訴訟での勝訴率が低く、差し止めまでの執行期間が長い、といった背景もあり、
訴訟以外での特許や商標の活用が重要になるからだと思われます。
また、出願業務が減少しつつあるので、それ以外の可能性を模索している段階ともいえます。
この背景を加味して、弁理士として差別化を図ったり、地方企業や中小企業のニーズに沿ったサービスを提供しようとすると、
コンサルタントよりな方向へと進み、
特許権や商標権の取得といった従来の基盤業務からますます離れる傾向にあります。
裏を返せば、知的財産権の専門家としてだけではなく、ビジネスパートナーとして、
その事業への活用といった観点で仕事を相談できる弁理士が増えつつあると言えます。
一方、たとえば、分業がよしとされ、プロパテントの傾向がはっきりしているドイツでは、
弁理士の役割は、“訴訟に強く、異議申立でつぶされにくい、強く広い権利を取ること”
に集約されます。
ここにも、一点に資源(弁理士)を集中し、その品質を担保するというドイツ特有の傾向が垣間見えます。
このため、たとえば、商標専門弁理士であっても、ブランディングのノウハウについては他に聞いてくださいね、ということが多いです。
私のように日本弁理士×欧州
といったポジションでは、
・欧州の事務所に対する日本でのマーケティングと、
・日本企業に対する欧州のマーケティング
の二つの知識やノウハウ、ネットワークが期待されます。
これはこれで大変面白いトピックです。
一方、こうした知財以外のことを勉強したり業務を拡大するほど弁理士本来の役割から離れてしまうという葛藤も少しありますが、
専門家かつ、ビジネスパートナーにもなれる弁理士、
専門性とビジネス感覚とを備えたビジネスマンはまだまだ世界では少数です。
知的財産権は取得することが目的ではなく活用することが目的なので、
私も専門家、ビジネスパートナーとしての弁理士を目指したいと思います。
役に立っているかどうか ~天才マーケッターにお会いしてきました~
先日、或る恩師のご紹介で、数々のヒット商品を生み出した同分野では知る人ぞ知るという天才マーケッターにお会いしてきました。
前所で未経験の新規開拓を主に任されるようになって、興味が湧いてマーケティングに関する勉強もしていたのですが、
専業でマーケティングに携わっている方に初めてお会いし、知識も経験も実績も余りにも別格過ぎて、
弁理士がマーケティングに携わるのはあくまでも事務所経営や顧客の事業を理解するために知っておく、くらいで、クライアントがマーケティングの部分を必要にされている場合には、
マーケティングの専門家をご紹介するくらいがいいのかなと痛感しました。
(※お話し頂いたマーケティングに関するノウハウは極秘のため、残念ながらこちらでは非公開です※)
このほか、永年のご経験から以下のことがはっとさせられました。
【役に立っているか】
『はじめまして。ところで、きみは今の会社でどんなポジションにて、部下は何人いるの?』
(今は0ですが、以前は3、その前は10、最初に勤めた先では20でした。)
『そうですか。それが君のドイツでの価値、ドイツの組織にとっての価値だね。
そのくらいの年齢なら、もっと役に立っている、必要とされているなら、部下もたくさんいてもっと重要なポジションにいるでしょうよ。』
これが天才マーケッターとの最初のやり取りでした。
業界による違いがあるものの、そんな観点で考えたこともなく、
それなりに順調にキャリアアップしてきたと思い込んでいたので、目から鱗でした。
色んな企業人にお会いしますが、地位の高い方が多いので、中にはそうした観点で評価される場合も多いのではないかと気付いた次第です。
また、
・ドイツに居ること自体が日本、クライアントにとって役立っているか、
・今の組織に居ることが所属先にとって役立っているか、
・そして、そこでの経験が自分にも役立っているか、
・それは当初は自分の役に立つ、自分が役に立つ、と思っていたことが役に立たなくなることもある、
・正しいかどうかで判断するのではなく、役立っているから正しいのであって、それをはき違えないように
ということを基準に考えなさい、とのことでしたが、
これもまたそんな観点で考えたこともなかったので今後の判断規範になりそうです。
どの分野にせよ、極めた人は卓越した洞察力をお持ちです。最近、濁ってきた私の眼によい刺激になります。
ただ、私見では
役に立っている=アウトプットが多い、
役に立つ方向に向かっている=アウトプット<インプット
つまり、学ぶことの方が多い
とも言えるので、この年齢でアウトプットよりもインプットの方が多い環境に身を置けるというのは非常に有難いです。
思い返せば、或る交流会に参加したことが5回ほどわらしべ長座のように巡り巡っていろんな方とお会いし、ドイツへの転職の話を得るきっかけになりましたが、
人との出会いは人生を変える機転になるなと改めて実感した次第です。
貴重なご縁、ご意見に感謝します。
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感想、ご意見、ご要望等ございましたら、以下に頂けると幸いです。
minmin70707@yahoo.co.jp
ドイツでの教訓
日本を出て、海外に長期滞在し、長期に働くという貴重な経験を通じて得ることができたのは、視野の広がり、気付き、繋がりです。早くも海外生活も三年に近づいてきたので、この間に気付いたことを振り返ってみたいと思います。
・8対2の選択。すなわち、8割の確率で2の利益が得られる選択と2割の確率で8の利益が得られる選択を迫られたときにいずれを選択すべきか。自身の行動指針さえ定まっていればぶれない。人生は選択の連続。選ぶこととは他を捨てること
・弱点の補強をするのではなく、自分特有の強みで勝負する。強みで勝負できず、弱点の補強の方が大事な環境は要注意。。
・海外に居る日本弁理士というポジションは大変貴重な機会。日本の知財部の方、事務所所長の方、現地に日本を代表していらした方と『第三セクター』としてお逢いできる(これが一番ドイツに来て良かったことの一つです)
・第一人者にならなければ差別化しても意味がない。敷かれたレールを歩いてもダメ。市場、国、職場、全てに共通する事項
・社内でのエネルギーを社外へのエネルギーへ
・完全な組織は存在しない。必ずどこかに軋轢が存在する
・国によって評価項目が異なる;欧州は階級社会を根幹とする資格・学位社会
・20%の原則。経営上、主要顧客の収益率は20%まで。主要顧客の国別比率は20%まで。20%を超えると、交渉力、安定した経営力を失う
・窓口がニーズの一番近くに居るが、ニーズを実行する力がなければあまり意味がない(が、そのニーズは出番が来るまで大事に温めておくべし)
・正しい野心をもつ
・正しいことをしたければ偉くなれ(ワクさん)
・欧州での仕事が向く人は、環境適応能力が高く、かつ主体的に動いて自分で仕事を創り出す人。ここでの仕事を創り出すとは、内部での仕事(新しい価値の提供)と外部での仕事(新規開拓)を創り出す。⇒勤務初日は、所内外との信頼関係の構築に努めることは勿論、『さて、何をすればいいですか?、私の案件はどこですか?』ではなく、『Aと、Bと、Cとを計画しており、それぞれ、PA,PB,PCというメリットがあるので実行させてください』と言えるくらいが素晴らしいです。ふられた仕事がない暇なときほど、新しい仕事を創り出すチャンスです。(とはいえ自身を振り返ると、現在は、積極的に動きすぎてトラブルが起きたり、慣れない海外での転職で色々疲れて所内での信頼関係の構築や実績の報告等、かなり怠っているのが現状です。。)。
・明細書作成業務はその後、日本、海外での権利化の原書となり、他社特許を世界中で潰す引用文献となり、交渉の駒となるもの。もっと評価されるべき。
・日本の特許事務所での人材不足と次世代問題
・移動距離はアイデアに比例する;日本からドイツへの移動
・忙しいとミスが多量発生、アイデアの創出作業もストップ
・あれもこれも全部では効率も質も低下して消化不良に陥る。各工程の役割と責任を明確にしつつ、それらを管理する
・特許の役割は国によって相違する
⇒日本では技術力のパラメータ・外国出願の基礎出願。役割に応じた明細書づくりが重要
・言語は短期集中と勉強。現地にいるだけでは一ミリたりとも現地語は上達しない
・内部政治は内部政治による効果があるから起きてしまう。クライアントへの貢献、事務所への貢献を客観的かつ公正、厳正に評価できる仕組みが必要
・転職によって解決できる問題・解決できない問題と、新たに勃発する問題もあるので、転職前にある緯度把握・予測し客観評価しておく
・日本で働く外国弁理士は、内外案件(日本⇒海外の出願)が多いので自分の土俵で勝負できるが、海外で働く日本弁理士は外内案件(海外⇒日本の出願)が少なく内外案件(日本⇒海外の出願)が多いことから、基本的に相手の土俵で勝負することとなる。つまり、相手国の言語と法制度・実務を学ぶことが重要。中国・韓国系はほんのすこし増えてきていますが、確かに、日本語や日本弁理士の勉強をしているアメリカ人やドイツ人に日本でお会いしたことがありません
・ドイツに居るとドイツでのみ知り合える人脈もあり、海外に居るからこそ分かる日本の良さも或る。一方、日本に居ないことによる機会損失も大きい
・日本を拠点に日本企業の海外進出を手伝うのか、海外の一国に身をおいて日本企業の当該国への進出と当該国企業の日本進出を手伝うのか。海外で働く際はいずれをやりたいのか明確にしておく
・日本弁理士として大成した人は、米国に残り続けた場合よりも、2~3年の米国経験とそこで得たコネクション・見解を武器に日本で独自路線を開拓した先生に多い
・日本の弁理士は厳しいといわれるが、急成長している事務所と年々厳しくありつつ事務所の二極化が進んでいる。急成長している事務所は、基本的に価格競争はしていない
・国の安定した成長には、纏まりと治安・政治面での安定が不可欠
・自然災害と人的災害。自然災害は地域特性に基づく予測可能性が高いが、人的災害は予測可能性の裏を突かれるので回避が難しい
・日本で買った商品、サービスはローカライズすれば普通に世界で通用する
・やっぱり、外から観た日本も素晴らしい!
治安、食生活、交通網、インフラ(安定したネット、いつも動くエスカレーター)等
感想、ご意見、ご要望等ございましたら、以下に頂けると幸いです。
minmin70707@yahoo.co.jp
業務効率化とミスの相関について
最近、色々手を出したことと(自業自得ですが)、夜・早朝の会合、係争事案、休暇前処理等が重なって、
トータルの仕事量が処理能力を超えてしまっております。
疲労×多忙×緊急が重なると、経験上、ミスが発生するので、
気を付けていたのですが、それでもミスが発生してしまいました。
ミスが発生すると、ミスに対する(1)謝罪 (2)原因追究 (3)対策
におわれるので、余計に仕事が増えます。
この状態が続くと、
効率低下⇒ミス増加⇒仕事量増加⇒疲弊⇒集中力低下⇒効率低下
と、悪循環になってしまいます。
逆に、短時間で生産性の高い仕事を行えば、
効率低下⇒ミス低下⇒仕事量減少⇒リラックス・睡眠時間確保⇒集中力増加⇒効率上昇
と良い循環が生まれます。
自分で以前そんな講演をしたことがありますが、
このあたりの効率性をドイツは日本以上に重視するので、
短時間でミスの仕事の少ない仕事をこなせる傾向にあります。
単価が高いのが一番の理由ですが、
労働生産性の高さは、仕事量のバランスを図り、上記の良い循環を維持することから生まれます。
ということで、週末はゆっくり息抜きしようと思います。
欧州特許出願及びドイツ特許出願の審査結果、査定までの期間を大公開
【欧州特許出願及びドイツ特許出願の審査結果】
2011年以降、ドイツ特許出願、欧州特許出願のいずれもが
見事な右肩下がりのグラフとなり、審査期間が短縮されつつあります。
出願が特許庁に継続しているだけで『維持年金』が発生するという素晴らしい収益システムを確立している欧州特許庁とドイツ特許庁ですが、
『自分たちが審査を遅延させた分だけ、維持年金で儲かるとは何事か!?』
と世界中から叩かれた甲斐あって、オフィスアクション発行、及び査定までの期間短縮に力を入れているようです。
なお、ドイツ特許出願は、ドイツを第一国出願の場合が含まれているため(つまり、日本国特許庁ではなくドイツ特許庁に基礎となる最初の特許出願を行った場合)、
日本を第一国とした場合は上記期間の2~3倍と考えた方がよさそうです。
【ドイツ特許出願の審査促進手法】
(1)ドイツ特許庁を第一国出願とする
日本語でも出願できます。ただし、出願から3か月以内にドイツ語の翻訳文を要提出。
(2)出願から4か月以内に審査請求
移行と同時が理想です。
ドイツ特許庁が第一国出願であってかつ移行と同時に審査請求されたドイツ出願に対しては、8か月以内にファーストアクションを発行しなければならないとの努力義務が審査官に課されています。実際は、10か月ほど。
最速を目指すのであればこの手法がおすすめです。
(3)可能な限り早く拒絶理由に応答する
審査官も人間。発行したばかりの拒絶理由はまだ頭の中に入っています。
拒絶理由を受領したら翌日には応答するくらいの気持ちで挑みましょう。
(4)電話する
私も日本の友人とメールだけでやりとりをしていると、日本語ですら誤解が起きることが多々あります。審査官も同じです。ましてや、技術と法律のからむ特許書面ならなおさらです。
特許までの流れは、審査官との交渉です。交渉とは、相手方と自分とがお互いに納得のいく最終地点を見つけ“共同作業”です。
代理人が審査官に電話して技術や応答案の主張を分かりやすく説明し、お互いに合意のいく最終地点に一日でも早く到達しましょう。
なお、電話のタイミングは、オフィスアクションを受け取った直後がベストです。
ちなみに、審査官の評価は、欧州特許庁もドイツ特許庁も、ポイント制です。
ポイント=査定数
です。
つまり、特許査定か拒絶査定をすればするほど審査官も昇進し、待遇もアップします。
代理人として、審査官の昇進を手伝うくらいのつもりで、特許しやすい発明の範囲、分かりやすい明細書と応答書の作成を心がけましょう。
(5)PPH、他審査促進手段
早期審査制度を活用します。
なお、外国出願戦略の一つとして、PPHを活用することも勧められています。
しかし、PPHはあまりお勧めできません。
それは、PPHを主張するには、特許査定(もしくは肯定的見解)となった日本出願等のクレームの翻訳文が必要となり、移行段階からいきなり限定された権利範囲となるからです。
留意すべきは、PPHの趣旨はあくまで審査を促進することであって、
査定率を上げることではないことです。
そして、ドイツや欧州特許庁はじめ、多くの特許庁は、日本特許庁が特許査定になったからといって、その査定結果を全くもってあてにせず、独自の判断基準で審査を行います。
つまり、移行段階でせっかく権利範囲を限定しても、さらに違う方向への限定が必要になってしまったり、
審査促進の効果もあくまでも初回のオフィスアクションが発行されるまでの限られた期間となります。
【PPH⇒審査促進】
であって、
【PPH⇒査定率向上】
ではありません。注意しましょう。
(6)ドイツ特許出願の注意事項
イギリスのEU脱退も決まり、欧州出願の魅力も低下し、
これまで進めてこられた念願の単一効特許制度の実施も雲行きが危うくなってきました。
欧州出願の魅力が低下する一方、増加するのがドイツ特許出願です。
ドイツ出願を行う際にはいくつかの注意事項が存在します。
- 出願言語:
・パリルート経由:日本語で出願可能(3か月以内にドイツ語の翻訳文)。
英語、フランス語⇒12か月以内にドイツ語の翻訳文
・PCTルート:ドイツ語のみ
- 維持年金
日本と同じく維持年金が発生します
欧州特許庁、審査促進を公言
2016年6月に現地向けに開催された欧州特許庁のセミナーで、
以下の事項が公言されました。
・サーチレポートを6か月以内に発行する
・特許査定もしくは拒絶査定を出願から一年以内に行う
・審査官との電話等、非公式ルートでの審査官とのコンタクトは原則認められていませんでしたが、こうした非公式ルートでのコンタクトにも積極的に応じ、審査促進に努める
高い、遅い、厳しいと、ユーザにとってフレンドリーではない欧州特許庁も変わりつつあるようです。
ドイツ特許出願を補正することができる時期 (補正の時期的要件)
日本の基礎出願をもとにドイツに国内段階移行する場合、
ドイツ特許請求の範囲の補正を行うことが可能な時期は、
a) 移行と同時
+
b) 移行後~審査請求前
+
c) 移行後~最初の拒絶理由通知を受けるまで
+
d) その他:最初もしくは2回目以降の拒絶理由通知を受けてから、特許を付与すべき旨の決定が行われるときまで(特許査定の準備が完了するまで、または口頭審理を申請した場合は、口頭審理が終了するまで)
となります (ドイツ特許法38条)。
つまり、
「移行手続~特許付与の決定まで」の間、
何度でも補正を行うことが可能です。
a) 移行と同時に補正を行う場合、以下の事項に注意する必要があります。
(1)補正書の提出
・PCTルートの場合、原文のミラー翻訳の提出が必要なため、補正した特許請求の範囲等は出願書面ではなく補正書として別途提出しなければなりません。
特許明細書のミラー翻訳【出願書面】と補正書との両方を移行時に提出する必要があります。
・一方、パリルートの場合、原文のミラー翻訳の提出が不要であるため、
請求項記載事項の「2つ又は3つのソケットを備える装置」を「3つのソケットを備える装置」に補正する場合でも、その他、新規の説明を明細書に追加したり、新たな請求項を起案する場合でも、この補正や新規の説明、新たな請求項を含む特許明細書を、【出願書面】として提出することができます。
つまり、補正書の提出は必要ありません。
(原文の範囲を超える追加事項については優先権の利益を得られず、移行日が当該新規事項の判断時期になります)
(2)審査請求
移行と同時に補正を行う場合、通常、審査請求を同時に行います。
一方、移行と同時に補正を行ったものの、例えば日本の基礎出願の様子を見て移行後に審査請求を行う場合、
審査請求をする際に、移行時に提出した補正書の基づき審査をして欲しい旨を特許庁に意思表示する必要があります。
なお、拒絶理由通知は通常2回ほど発行され、3度目以降の拒絶理由通知が発行される場合は、
口頭審理で審査官と補正案を詰めるのが通常です。
ドイツ特許庁の口頭審理はEPOと比べると簡易なものなので、
難題な案件や重要な案件は、口頭審理で審査官とベストな権利化の道を模索することも手です。
競争と共創
【競争】とは、
競う、争うと書き、文字通り、競合他社等が同じパイを巡って争うことを意味します。
【共創】とは、
市場、提供する商品やサービスなどを、クライアントや他企業と“共に創る”仕組みを意味します。
欧州、ドイツの特許業界は日本以上に、競合他社の動向に敏感で、情報収集や競合調査に熱心、過敏です。
知人から聞いた話では、転職して事務所が変わっても前の事務所からの監視が続き、FBや個人のホームページ等で下手な情報を発信すると前所から警告が届くということは頻繁にあるようです。CIA並みの情報管理力です。
また、配偶者が特許事務所で働いている場合、情報管理上、特許事務所で働くことが難しいです。
本題ですが、
日本から欧州の特許出願は減少傾向にあります。高い、遅い、厳しいが一番のネックです。
一方、ドイツの特許出願は増加傾向にあります。尤もな出願戦略です。
治安も経済も不安定ではありますが、
欧州は今なお、世界の三分の一のGDPを占める世界有数のマーケットです。
知財での『未知なる巨人』といわれるだけあって、まだまだ大きな可能性を秘めています。
『この世界有数のマーケットでの経済、知的財産の動向を要チェックし、
参入可能な魅力的なポイントを見つけたり、コンサルティングすることで、
欧州市場のマーケットを大きくする』
ことは、国際企業に標準化を取られて、他国の技術が国際標準として日本に押し寄せてくることを抑制し、日本企業の欧州進出の可能性を広げる上でも、極めて重要な役割です。
私としては、欧州で働く弁理士、日本弁理士等が競争ではなく
共創することによって、この魅力的な市場の可能性を広げることは極めて重要であり、
日本を背負って働く弁理士として、国益に繋げられるようにも思います。
また、競争以外にも、完全に差別化した他者を圧倒するサービスを提供することで、
クライアントにとっても待ちかねたサービスを提供することができ、
競合他社とも共存できます。
競合他所の動向や個人ブログやFB等を監視する労力のベクトルを、
共創や差別化といった開拓エネルギーへのベクトルに向けることの方が生産性が高く、
自分もクライアントも競合他所もハッピーになれる道であると思う日々です。
ライバル店にお客として紛れて時間をかけて調査しまくる代わりに、そんな時間もないくらいに、自身の味の拘りの研究やお客様の声を聴くことに毎晩勤しんで、
『うちの味噌ラーメンは世界一美味しいけど、しょうゆラーメンはあんまり得意じゃないんですよね。でも、しょうゆラーメンなら向かいのお店がおいしいですよ。』
と、しょうゆラーメンを食べたい人には向かいのラーメン屋さんをクライアントに勧められるような、洗練された世界一の味噌ラーメンを提供できる、太っ腹なラーメン屋さんにようになりたいです。
SEO:検索エンジン最適化
いつもご覧くださってありがとうございます。
元々は恩師、故郷の友人への一方的な手紙と、海外で将来働きたい方への情報発信というつもりではじめた当ブログですが、お蔭さまで最近、googleやyahoo等で検索すると上位に出てくるようで、
『もしかしてブログ書いていますか?』と聞かれることが多くなりました。
ブログをはじめて分かった副次的な効果が、
SEO「Search Engine Optimization」つまり「検索エンジン最適化」に関する知見を得られたことです。
私にとっては、ドイツ弁理士もドイツ特許事務所も、欧州特許もヨーロッパ特許も結構似た概念なのですが、
当ブログでは
・ドイツ弁理士>ドイツ特許事務所
・欧州特許>ヨーロッパ特許
といったように、自分の中では似た概念をドイツ弁理士、欧州特許といった一つの言葉で表現しています。
それでは、
・ドイツ弁理士⇒ドイツ特許事務所
・欧州特許⇒ヨーロッパ特許
で検索すると、表示結果が、1頁目⇒3頁目と大きく変化します。
自身の中では同じ概念を表現していても、その表現方法が相違すると同じ概念であっても表示されにくくあります。
SEO対策を考えるのであれば、同じ概念や同じ事柄に関する内容であっても、ドイツ特許、ドイツ特許事務所、ドイツパテントといったように、色んな表現を使うと良さそうです。特に、内容が専門的なだけに、同一概念のデータベースもまだ検索エンジンでは完全にカバーしきれていないのだと思います。
特許明細書と共通しているなと思いました。
同じ発明であっても、たとえば、『円弧状の先端部』といったように、
同じ表現方法しかクレームにも実施形態にも書かれていない場合、「円弧状の」が不明確であると審査官に指摘されたら、あとは図面に頼るしかないです。
逆に、『円弧状の先端部』といった発明の概念を、右からみたり、左からみたり、
色んな観点から観察することで、
『断面積が先端に向けて漸次低減する先端部』
といったように、別の表現で同じ概念を表現することができます。
これにより、例えば、円弧状の表現では理解してくれなかった審査官も納得するかもしれません。
検索エンジンも審査官もまた、同じ言葉であっても、別の概念を想起したり、
別の表現方法で表現されていなければ、同じ概念であると認識することが難しい場合もあります。
SEOに強いサイト作りには、同じ概念を色んな表現で説明し、
強い特許明細書作りにも、同じ概念を色んな表現で説明する
ことが重要のようです。
SEOと発明、面白い共通項を発見しました。
欧州共同体商標の費用と戦略的活用法
日本では、欧州特許と比べあまり知名度、活用度の高くはない共同体商標ですが、昨今急増する模倣品の税関での差し止めは、92%が共同体商標権(72%)、欧州各国商標権(約20%)と、その他、特許権等となっており、欧州税関当局は商標権の存在に大いに依存しています。
確かに、製品を分解して特許権に抵触する技術が利用されている、と税関が製品の流通現場で発見するのは難しいですね。 欧州共同体商標は、加盟国全域をカバーできるお得な制度です。世界のGDPの三分の一は欧州であり、日本と同じ、もしくはそれ以上に商品・サービスの“ブランド力”、“ブランディング”が重要なエリアです。特許も勿論重要ですが、商標を戦略的に活用することで事業戦略をより優位に進めることができます。
なお、日本の商標制度との最も大きな違いの一つとして、商標の絶対的識別力については審査されますが、商標の相対的識別力、つまり先行商標との関係については審査されません。 また従前法制度では、調査の対象とはなり、その調査結果が出願人と先行商標の保有者には通知されていましたが、この調査報告の制度も2016年施行の「共同体商標に関する理事会規則 2009年2月26日No.207/2009」及び「2008年10月22日付け欧州議会および欧州理事会の指令2008/95/EC」により撤廃されることとなります。
(参考プレスリリース)http://www.inta.org/Advocacy/Documents/2015/Council%20Compromise_REGULATION_%208JUN2015.pdf
しかし、同一もしくは類似の他人の先行商標が存在すると、異議理由、無効理由を有したまま登録されてしまうこととなります。また、自己の登録商標を使用すると、他人の商標権を利用、抵触するということにもなりかねません。
こうした相違から出願前、特に、自社商標の使用前には、事前の調査は欠かせません。この相違を知らずに、・全く調査しないでいざ異議申立を提起されると、弁護士を使った商標権者との交渉(もしくは出願人と権利者同士が直接交渉)、異議申立の応答費用と、余計に手間と費用とがかかってしまいます。
また、無事に登録されたので有効と思いきや、自社の登録商標を使用していたら、ある日突然、欧州の弁護士や競合他社から商標権侵害の警告書が届く、といった恐ろしいことになりかねません。 このため、低額で良心的な現地代理人に登録商標の調査(モニタリング)を依頼するか、出願人自身もしくは日本の代理人が事前にある程度、欧州圏内に存在する登録商標を調査しておくことをお勧めします。
以下、出願から登録、更新までに発生する主な費用をご紹介します。
【庁手数料】※別途、代理人費用が発生します
(改正前)・3区分まで:900EUR
・4区分以上:各区分毎にさらに150EUR
(改正後)
1出願1区分 850EUR
2区分目の追加費用 50EUR
3区分目以降1区分につき 150EUR
出願、及び登録費用は、3区分を指定するときは逆に少し高くなりました。
【調査・モニタリング】(庁費用・手続) ・共同体商標の調査報告制度は廃止されますが、国別調査は存続します。ただ、共同体商標ではなく各国商標との関係の調査には、リクエストが必要で、調査対象国もチェコ共和国、デンマーク、ギリシャ、リトアニア、ハンガリー、ルーマニア、スロバキアの七カ国(全指定)と限られています。費用は【84EUR】です。ドイツやフランス等は国毎調査の対象になっていないので、例えば、ドイツ特許商標庁に登録された先行商標は調査されません。 ・機械的調査のため、代理人による調査と比べると調査結果の精度は劣る傾向にあります。 (現地代理人費用)例えば、先行の共同体商標の同一性調査は、約1000EUR、類似性調査は約4000~5000EUR、先行のドイツ商標の同一性調査は約200EUR,類似性調査は約500EURとなっており、なかなか高額です。
【更新手数料】(OHIM庁費用)
(改正前)
・3区分まで:1350EUR
・4区分以上:各区分毎にさらに400EUR
(改正後)
1商標登録1区分につき850EUR
2区分目の追加費用が50EUR
3区分目以降1区分につき150EUR
『欧州特許庁EPOの効果的な使い道』
欧州特許庁は、欧州連合に次ぐ欧州第二位の規模を誇る組織で、優れた調査機関です。
高額ではありますが、様々なサービスを提供し、その審査実務、審査結果、法制度は他国・後進国にも大きな影響を及ぼします。欧州特許庁の使い方如何によっては、信頼性の高い特許を世界で戦略的に取得することが可能となるので、以下欧州特許庁EPOの使い道について解説します。なお、欧州特許庁のメリットの殆どは、PCT出願を最初から英語で行う場合でかつ欧州特許庁を国際調査機関として指定する場合に得られるものなので要注意です。
(出典:EPOのサービス(欧州特許庁提供資料))
【国際調査機関(ISA)としてのEPO】
・EPOはISA首位 国際調査報告(ISRs)発行数 80,742
【ISA/EPO選択の利点】
・RO/JP 英語出願のISAとしてEPOを指定
・EPOがISAならEP段階の補充欧州調査免除
・ISA/EP 多くの指定官庁が認めた高品質報告を作成
・国際調査料金 2012年設定 2014年据置 €1,875(¥251,600)
・EPO高品質調査 アジア特許情報を含む(EPOデータベースには3500万件のアジア特許文献)
・NEW: 2015年11月5日以降 ISRに追補 「search strategy(調査方式)」
【出願シナリオ 英語のPCT出願(第I章】
【補充国際調査機関としてのEPO】
・2010年以来、EPOはROおよびISAを問わずすべてのPCT出願人に補充国際調査(SIS)を提供
・目的 異なる言語/技術分野における先行技術の発見
・SIS請求 IBに提出
・SIS料金 = ISA料金 = €1,875 (CHF 1,958)(¥251,600)
・2014年、EPOはSISA(補充国際調査機関)首位 全請求の56%
・EPO国際調査と同じ品質、料金、利点 例えばEP段階の補充欧州調査の免除
・広報: OJ EPO 2010, 316 EPO SIS
【国際予備審査機関(IPEA)としてのEPO】
・EPO IPEA首位 国際予備審査報告(IPER)作成数 7,661 (55.7%)
・EPOは、EPOまたはいずれか他の欧州ISAがISAであった場合のみ、国際予備審査機関IPEAとなり得る
・第2回目の見解書(WO)
−「否定的な」IPERを発行する前にEPOは第2回目のWOを発行する
−電話によるコンサルテーションが行われる場合、必ずしも第2回目のWOを発行しなくてよい
−目的 出願人と審査官との対話推進
−第三者意見を考慮する
・2014年7月1日以来、チャプターIIの開始で「トップアップ」サーチ
−出願人 追加コストなし
−目的 ISR発行後に利用可能な中間先行技術の発見
−広報: OJ EPO 2014, A57
【PCT-PPH (特許審査ハイウェイ) 】
・出願の優先審査
・EPOの報告書は他のPPH 特許庁でも利用可能 (IP5 + カナダ、メキシコ、シンガポール、イスラエル)
【調査報告早期発行】
・調査報告早期発行イニシアチブはEPOにおいて出願されたすべての出願(選んだルート、例えばPCTまたはEPに関わらず)について、EPOにおける受領から6ヶ月以内に見解書付き調査報告を発行することを目的とする
・調査報告を早期に受け取り、審査開始時に急がなくてよいので出願人にとってプラス
・先行技術の概要および特許性を非常に早期に受け取るので一般公衆にとってプラス
・特定された人物によって裏付けのある意見が提出されれば出願人および第三者は手続を速めることができる
参考 http://www.epo.org/news-issues/news/2014/20140703.html
【グローバルドシエ】
発明に関するすべての出願について出願人および一般公衆が特許情報にアクセスでき、特許を統合的に審査できるようになる
・具体的には:参加官庁においてユーザがすべての出願および特許に関するすべての利用可能な情報に効率よくアクセスできる
・アクセシビリティ:出願人/特許権利者、代理人、審査官および他の官庁職員、第三者、一般公衆 機密情報へのアクセスは制限される-アクセスは権限保有者に限定
・どこで:IP5すべて-EPOで 例えばEuropean Patent Register, Espacenet
【統合欧州特許情報データベース】
・統合データベースは無料アクセスを提供
−単一アクセスポイントによるEP特許の付与後法的状況基本情報
EPO加盟国のオンライン国別特許情報データベースに直接アクセスできる
−統合欧州特許情報データベースは欧州特許情報データベース内から利用可能指定締約国からのデータを集め一画面にまとめる
−このサービスは特許文献詳細画面で左側パネルの「統合データベース(Federated Register)」リンクをクリックすればアクセスできる。
【統一特許パッケージ】
・統一特許は13加盟国(ドイツ、フランスおよび英国を含む)が統一特許裁判所協定を批准した時点で効力が発生する( 現時点で8 批准国)
・統一特許関係各国: 26加盟国 (クロアチアとスペインを除く全EU加盟国)
統一特許裁判所: 従来の欧州特許と統一特許の26加盟国における侵害や取消しをカバーする専門特許裁判所
【統一特許 コンセプト】
・統一特許 統一的効果を有するEP特許、最大26加盟国を網羅
・欧州特許と「統一特許」のための単一EPC手続
出願および審査手続に変更なし
・欧州特許は特許権者の請求があれば統一効果の利点を享受
欧州における発明の保護: PCTから統一的効果を有する欧州特許へ
【統一特許の具体的利点】
・26の加盟国について単一工程(One Single Step)で保護
・26の国内移行に代る簡略化した登録手続
・集中かつコスト効果のよい更新料金支払い
・特許付与後の翻訳不要(最初の移行期間後)
・EPOが維持管理する特許統一保護のための一元管理登録
・法的確実性をもたらす統一した訴訟制度
事業に対する特許の寄与率は30%程度
下町ロケット効果でまさにロケットの如く勢いのある鮫島先生第五回目コラム。主なポイント(以下、一部引用)。
『テクノロジーで勝負する企業において、歴史上、知財権をおろそかにして勝利を収めた例は極めて少ないと言えます』
利益四分法(25 %ルール)
「企業利益の源泉は、資本、組織、企業努力(労働力)、特許(技術)という4つの要素から得られるものである」
利益三分法
「資本・営業・特許権という3つの要素から得られるものである」